大阪高等裁判所 昭和26年(ウ)82号 決定 1951年5月09日
申立人 岡田進
右申立人は京都家庭裁判所昭和二十六年(家)第二四四号名の変更許可申立事件につき、同年三月九日同裁判所がなした申立却下の審判書を同月二十四日受取つたが、抗告期間が二週間であることは知らなかつた。尚その審判書には審判官の項に氏名の記載がなかつたので、同年四月三日同裁判所にその旨申出た処、同裁判所ではその項に渡辺彦士と印を押してくれたから、その後二週間内に本件抗告に及ぶとて、同月十七日抗告状を提出した。
しかしながら、記録によれば申立人が本件審判書正本を受取つたのは昭和二十六年三月十六日であるから、抗告はその後二週間に申立てなければならないのであつて、抗告期間を知らなかつた事は期間徒過の正当事由にはならないし、又申立人の受取つた審判書正本に審判官の氏名の記載がなかつたとの主張は、資料が何もないからこれを認める事ができないが、仮にそうであつたとしても、その他の点に欠陥がなく、京都家庭裁判所の審判書であること、その内容及び審判官の氏名以外の必要事項があれば、正本の送達により審判は効力を生じ、申立人は審判のあつた事及びその内容を了知して、不服なれば法定期間内に抗告を申立て得たものと云わなければならないから、これまた期間徒過の正当事由とは認められない。
そうすると本件抗告申立の追完は不適法であるから、次のように決定する。
主文
本件抗告を却下する。
抗告費用は抗告人の負担とする。